家づくりにまつわること(12):基本設計の本当の意味


以前の投稿(家づくりにまつわること(11):建築設計事務所をパートナーとした住宅完成までのフローとスケジュールについて)で建築の開始~完了までを概略しました。

この投稿では、住まいの方針が決定される「基本設計フェーズ」について具体的に書いてみたいと思います。


◉基本設計フェーズの役割


一般的に「基本設計」は、建て主の要望や敷地調査結果を基に建築物を構想し、そのプラン含めて構造・設備など付随した情報の基本方針をつくることを目的としています。

そして、次のフェーズである実施設計では、基本設計でできた骨格の詳細を詰めていくイメージなります。

従って、この基本設計フェーズでしか建て主の生活感は主に議論されないことが一般的です。しかし、実は建て主・クライアントの合意形成ができればそれまでの密度や時間は関係しないという特徴があります。

例えば、ハウスメーカーや工務店を例にすると主に要望を聞いた後、その要望に合わせて効率の良い形にプランを描き、それに建て主がOKが出れば基本設計は終了です。

設計事務所では、各事務所のスタンスによって違いますが、デザイン的特徴にフォーカスする傾向があるので、建物の形や素材の検討に時間をかけるところが多いと言えます。

しかし、本当に必要な住まいはその時点の要望を基にプランや見た目と”にらめっこ”することで生まれるでしょうか?

これまでの経験上、建て主の求める要望の内、約4割は突き詰めると「ある方が良い」程のモチベーションで列挙しているように思います。このことが悪いということではなく、それを部屋として固定実現した時に一生の生活の中でどこまで有効で、将来的にどうしていくのかという会話を始めると無くなったり、つくり方が変わるケースが多いのです。(当然コストとの兼ね合いもあります。)

子供室など一時的な部屋は将来的に何も考えなければほとんどの確率で倉庫になっているケースが多いです。部屋を固定するということは意外に将来の自分に不便な条件を自らつくってしまうことになるのです。


◉基本設計で行われるべきこと


住まいづくりは建て主にとって一生の中で重要なポイントなので、たくさんの要望を実現したいと考えられる方も多いと思います。そして、それに比例して建設コストもUPしていきます。

コストを理由に要望をカットしていく調整の仕方ではなく、根本的な住まい方の理想像を会話し精査・検討していく会社は少ないように思います。

基本設計フェーズという方針を決めていく段階では、建て主と設計者がこの理想像のベースから会話を積み上げて、ひとつひとつの要望を精査・検討していく進め方が大切なように感じています。

こういった進め方をしていると「どうしてそのように思うのか」、「どうして必要なのか」を建て主自身が整理でき、的確に要不要が判断できるようになることに加え、はじめは深く見れなかった提案内容や模型に対し、良いところ・もう少し検討したいところを気づけるようになります。

住まい方の理想像は建て主自身も当初は気づいていないケースが多く、当社では「理想像を根本的に話し合い建て主に意識してもらうこと」、「要望内容をひとつひとつ深堀りすること」を実施しながら、検討過程をとにかくオープンにし、会話の中で整理をしていくことで、建て主にできるだけ住まいづくりへの理解とモチベーションを持ってもらうようにしています。

そのため、基本設計フェーズに割り当てる約3か月という期間はとても濃密ですし、様々な検討バリエーションから最終方針に理論的に収束していく経験は、未来へのワクワクと充実感を感じることのできる期間です。

この期間の会話量をできるだけ増やすため、そのためのネタづくりや打ち合わせの仕方をデザインするなど、設計過程をとにかく大事にしています


建て主からすると基本設計が完了した後は、より専門性が高まり、半自動的に決まっていくケースも多いです。

プランや模型といった表現手段に終始振り回されるのではなく、基本設計だけでもそれらを使いながら未来を会話することを意識づけて頂けたらと思います。