家づくりにまつわること(14):工事項目は半自動的に決まっている!


この投稿では住宅をはじめとして建築に関わるコストの内、土地代と同じく大きな比率を占める工事費について、考えてみたいと思います。

紙面にするととても分厚くなる工事見積りの明細はその多くが工事項目・材料、数量、単価で表現されています。

数量や単価は意図的に入力される情報ですが、工事項目は土地や設計図により半自動的に決まっていることをご存知でしょうか。

半と書いているのは、時々工事会社側の解釈で不要な工事を積算しているケースもあるからです。

この工事項目は大別すると

・敷地の特性によるもの :設計事務所も工事会社も操作しづらい条件

・計画の内容によるもの :工事会社が操作しづらい条件

・元請けの経費・利益によるもの:工事会社が操作できる情報

に分かれます。

一般的に、この代別が理解できていないことが工事費の不透明さを印象づけているようにも思います。この大別を理解している、理解していないで家づくりに対する意識は大きく変わると思いますのでシェアしてみたいと思います。

◉ 敷地の特性によるもの

これは、「敷地の形状が複雑であったり、斜面地である」、「敷地の前面道路幅員が小さく、工事車両が入れない」、「上水・下水・ガスが敷地内に引き込まれていない」、「前面道路より敷地レベルが大きく下がっており、排水にポンプ設備が必要である」、「各種規制」というように、その土地に紐づいた必然的な条件により必要となるコストを指します。

これらの特性は平地で整形な敷地と比較すれば、コスト増になります。

つまり、これらはその土地で建築する以上、必然的に必要な内容であり、設計事務所・工事会社共にコストを抑えるよう操作したりすることが難しい条件のようなものになります。

そのため、このような条件は”土地の購入前”にある程度把握できている必要があります。

結局は不動産屋が提示する土地代+土地の特性による必要な費用=土地にかかわる金額という認識が必要です。


◉ 計画の内容によるもの

計画の内容とは、プラン内容、性能、採用素材というように建て主の要望のもと設計事務所が規定し、工事会社が勝手に変えられない・触れられない範囲の情報を指します。つまり、工事会社にとっては条件になります。

この内容は各設計事務所によって扱い方が変わりますし、建て主側の要望にも影響を受けます。その結果プラン計画の内容は手腕が分かれるところです。なぜなら、これに紐づく構造や設備計画、素材の経済的利用、施工上の影響が直接あるからです。

例えば、シンプルな整形の建築物は複雑な平面形状の建築物より、現場作業者にとって理解し易く、シンプルな構造架構な上に、外壁材などの現場カット数も少なく、素材量も少なくて済みます。また、工事仮設である足場も最小の数量で済みます。

ここでは何も整形にすることが良いことだと言いたい訳ではなく、複雑にすることによる影響を把握し、それを実行するだけの優先的な理由が必要であり、それを建て主と共有されていることが大事だと思います。

他には、同じ延床面積でも個室数が多いと壁や建具の数が多くなるため、コストはその分影響します。


◉ 元請けの経費・利益によるもの

これは元請工事業者の現場管理にかかる経費や現場仮設費用、利益を指します。

設計事務所によっては、これらを重点的に減額させようとするところもありますが、これは工事状況や関係性が悪くなるだけで、得策ではありません。

建物本体のコストは建築計画や敷地の影響の占める割合が大きいのです。それらを重点的に見直して金額調整をした上で、工事業者にも経費率を下げてもらえるよう交渉する姿勢が最良です。


考え方だけを捉えると、ここまでの内容から敷地や計画による金額は、工事会社側で操作することが難しく半自動的に決まってくるイメージが頭の中で思い描けるかと思います。(彼らの利益の取り方・数量などはここでは触れません)

このことが理解できていないと、土地や要望による条件の割に工事費が高い・不透明だと、どうしても思わざるを得ないのです。

そして次のことも言えます。

敷地や計画にかかる費用が工事金額の大部分を占めるため、プロジェクトを進める中で、どれだけ早くコストをリアルに意識できるかどうかが大事になることを理解してもらえるかと思います。そのためには、できるだけ早く建築家(建築設計事務所)をチームに入れて進めることが望ましいと言えるのです。

本投稿をまとめますと、工事項目は実は半自動的に決定され、その前提となる土地や建築設計を扱うことのできる設計事務所の手腕が結果的に工事費に大きく影響するということを述べました。

家づくりのために要望を整理する際や設計事務所を決定する際に参考にしていただけたらと思います。