家づくりにまつわること(19):耐震診断の方法とは?


この投稿では、もう少し耐震診断の中身について書いてみます。

耐震診断は「診断」だけ行われて終わるケースは稀であり、何かのリフォーム・リノベーション、または耐震補強を見越して行われるケースがほとんどです。

そのため、耐震診断の調査内容や結果を把握することは重要なポイントです。

耐震診断の調査内容ついて簡単にシェアし、耐震診断することでどういったことがわかるのかご理解頂けたらと思います。


耐震の診断はどのように行う?

前回の投稿(耐震診断の背景を知る)では、耐震診断は、既存の構造体が大地震(震度6強~震度7の地震)発生時における、木造住宅の倒壊の可能性に関しての診断のことであり、①実態を調査する、②計算上・計画上も診断・確認することで評価されることを書きました。

この①、②を順に見ていきます。


①実態を調査するとは?

「既存の構造体の①実態を調査する」とは、現地での目視調査、当時の設計図書の内容の確認、建物修繕履歴・増改築の有無等を確認します。具体的には既存の骨組みが建設当時の図面と同じか、図面に表記ない部材がないかを現地確認します。この時に確認するのは壁、柱、小屋組、土台、斜材(筋交いや方づえ、火打材等)、床板、屋根版、横架材(梁や桁)といった「構造上主要な部分」と建築基準法で規定された部位の一部になります。言ってしまえばその他の部材は、これら構造上主要な部分に貼られたり、ぶら下がってりしているものなので、これらは耐震性能にほとんど影響しないという考えです。

既存図面と実際の状況を確認しながら、柱や梁の断面寸法や接続金物の有無、ゆるみ、ビスや釘の本数なども確認します。

なお、調査範囲は極端に言いますと基礎から上の木造骨組みに限定され、基礎は劣化状況や基礎種別の把握程度のみが確認されることも重要な点です。基礎コンクリートに覆われた内部の鉄筋の配筋状況は当時の図面通りとされるため、実際と整合しているかどうかはわかりません。それをちゃんと把握しようと思うとより専門的な基礎のコア抜き調査を行い具体的に内部の配筋を確認する必要がありますが、その分費用も必要になります。


②計算上・計画上も診断・確認するとは

建物の現況を把握したら、次は既存建物全体を俯瞰した時に、建物の形状や耐力壁の配置状況などを確認します。

具体的には以下がポイントになります。

・建物の形状は整形なのか不整形なのか

・2階・3階建ての場合には上下階の断面形状(1階より2階が張り出しているかなど)

・各階の家具の重量や屋根の重量

・上の3点に合った耐力壁の配置状況と仕様

3点目まではわかりやすいと思いますので、4点目について解説します。

耐力壁とは、地震や風など横から建物にかかる力に対して、建物が揺らぐことを抑えるために設けられる壁のことです。昔の木造住宅とは違い、現在の木造住宅は建物を出来るだけ固めて、横からの力に対して動きにくい家とするよう法律で規定されています。

仕様とあるのは、耐力壁の具体的な材料やつくり方を指し、柱間に筋交いなど斜材を設ける、もしくは合板を直接柱同士に打ち付けて、柱が動くのを留めることで耐力壁を構成しています。そのため、この耐力壁部分には窓を設けられませんし、その配置位置のバランスが悪いと横からの力に動いてしまう可能性があるため、NGとされています。

そのため、一般的に建築計画では建て主の要望や敷地条件から開口部がほしいところと、耐力壁を設けて構造的バランスを取るという2つの主な考え方を調整して計画しています。


耐震診断でわかること

①と②の調査結果を元に作成された耐震診断書では、耐震性を数値で評価し、大地震で倒壊する可能性を4段階で判定し、加えて具体的な調査結果資料が添付されるようになっています。

総合評価

1.5以上 : ◎ 倒壊しない

1.0以上~1.5未満 :○ 一応倒壊しない

0.7以上~1.0未満 :△ 倒壊する可能性がある

0.7未満 :× 倒壊する可能性が高い

しかし、この総合評価で例えば「一応倒壊しない」となっても安心しずらいように思います。ここはあまり重要ではなく、診断書の見方を診断士に教えてもらい、診断書を読み解くことで建物の弱点を理解することが重要です。

例えば、「耐力壁や筋かいが少ない」、「東側に大きな窓あり壁のバランスが悪い」、「木材が腐っている」等のことがわかります。そして、これが理解できたからこそ、これからの計画(リフォーム・リノベーション計画、予算、スケジュールなど)で所有者の要望と構造的弱点を補強することのバランスを取るようにして計画していくことができます。


この投稿では、耐震診断の調査方法やそれによりわかることについて書きました。

特に内装設計会社や内装施工会社では、内装以外の家全体のことまで理解して対応してくれるところはあまりありません。これは業務範囲が違うため仕方のないことなのですが、家の所有者自身に返ってくることなので、確実かつ安心なフローに気を使われることが望ましいように思います。