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2021年 今年も大変お世話になりました!


 

今年の後半には新型コロナの影響も落ち着き、業界全体として動きが戻ってきた印象があります。当社におきましても、いくつかのPJが進行し、動きのある1年に忙しくさせて頂きました!


春頃から認定こども園の共同設計や8月に営業開始されたコーヒーの焙煎所"TODOKEL"の設計がスタートし、新しい用途への挑戦と利用者の活動の自由を目指してきました。


一方で、材料不足やコンテナ不足による影響で建材や器具のコストが全体的に上がっていること、納期が不安定であることが各プロジェクトに影響し、今後も続きそうです。

しかしながら、有限な資源の限界も見えてきている未来も同様なことが不規則に続いていくことが想定され、具体的にいろいろと考えさせられたことも印象に残っています。


このような課題もありながら、今年もたくさんの建築を中心とした環境を提案することができたように思います!

今年もお世話になった方々に感謝しつつ、仕事納めに今年の各プロジェクトについて振り返ってみます!




◉プロジェクトを振り返ります!


TODOKEL

青い大きな砂地の壁が横断する7坪の小さな焙煎所

キーワード:日本・兵庫県 / 焙煎所 / 20.84 ㎡ / コの字壁 / Black Sea / ワークショップ / 地域に開かれた施設



TODOKELは神戸市灘区の閑静な住宅地に位置しています。スペシャリティコーヒーを焙煎し、店先での販売に加え、オフィス、美容院、クリニックなど事業体に定期配送することで、彼らのサービスやホスピタリティの向上を通じて、コーヒーの生産から流通に関わる人たちの想いを繋げ届けることを主なコンセプトにしてらっしゃいます。

コーヒー自体や焙煎に触れてもらえる機会を設けるため、定期的にワークショップを開催し、各事業体だけでなく、周辺住民へも参加を促しています。

店構えが開かれた装いなこともあり、たまに訪れると周辺の方々が来店し、オーナーと談笑する場面も見ることができました!



TODOKELは小さな面積ながら、販売・焙煎・梱包、ワークショップと多機能性が求められたこともあり、オーナーとは多くの対話を重ねましたが、その中で検討して来たことについて一部触れたいと思います。


まず、焙煎所への周辺環境からアプローチの可能性を考え、メインエントランスを決定し、焙煎機位置と収納量を見ながら、販売・焙煎・梱包、ワークショップそれぞれの場合のレイアウトがどのようになるか比較検討しながら方針出しを行いました。その結果、以下方針Bをベースに進めることになり、具体的なデザインと共に全体像を検討していくことになりました。



方針A:

方針B:

方針C:



既存テナントの平面・展開情報に本計画をはめ込み、現代的なデザイン思考により調整を始めると細かなデザイン処理が複数必要であることがわかりました。小さな空間の中がよりゴチャゴチャしてしまうこととコストアップが懸念されることから、一度考えを振り、1枚の大きな壁をシンプルにコの字に設けることで、多くの効果が生まれることに期待することになりました。



このコの字壁には様々な開口が開けられ、そこに水周り、作業スペース、接客スペースが設けられています。この開口位置をどの位置にどの大きさにするか緻密に検討し、機能性だけでなく、周辺との距離の取り方や周辺からの見え方も考慮し、この場でおきる行為がこの壁を背景に、時にはこの壁があるからこそ生まれるように意識して計画していくことになりました。


施主の要望から、この壁の仕上げには骨材入りの青色の刷毛塗り塗装を施し、存在感と色や光のムラのある雰囲気が生まれました!

この壁に設置される店舗ロゴサインはスチールの切り文字にシルバー色の粉体塗装を施し、壁と同様のテクスチャーとすることで、石を薄く切り出したような見え方を意識しました。












実はメインエントランスから見通せる奥の扉のある壁は他と色を少し変えてモカ色に塗装しています。これは、コの字壁の開口を経て奥へと視線を導き、小さな面積ながら奥行きが感じられる視覚的な効果を意図しています!




こうした検討を経て、シンプルなコンセプトながら洞窟の中のような力強くも居心地のある空間にできているように感じます。お近くに行かれる際には、美味しいコーヒーを飲みにお立ち寄り頂けたら嬉しいです!!


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お店情報

TODOKEL

住所:兵庫県神戸市灘区大内通1-6-5 1F

ホームページ:https://todokel.jp/

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◉研究を振り返ります!


昨年に引き続き、今年参加したコンペティションから抜粋して振り返ってみたいと思います。未来の環境を想像する種にして頂けたら嬉しいです。



Umimachi gate – 海・まち・台地・世代をつなぎ育む –

隠岐の島町西郷港周辺地区デザインコンペ

キーワード:日本・島根県 / まちづくり / 4440.1㎡ / 港町 / コンコース / シェアキッチン / 県産材利用 / 離散型 / 散策と購買


隠岐の島は、島根半島の北方に位置する離島であり、2013年にはユネスコ世界ジオパークとして認定された原来の自然が豊かな島です。隠岐の島町は隠岐諸島の島後の玄関口とされ、海辺から街側には東西方向に大きく台地が広がり、その都市構造から南北、そして港周りのそれぞれの町は分断され、あまり交流が行われない状況が続いてきました。


この計画において、私たちは隠岐の島の顔となる西郷港玄関口地域の現状と課題を把握し、西郷港玄関口まちづくり計画による基本理念に倣い、空間構造的課題である海・まち・台地を具体的につなぐこと、そしてこれに未来の可能性を重ね合わせ、街の魅力・体験・経済・防災が並列して向上していくことが世代を繋いでいく街のあり方を提案しています。



まず、玄関口となるフェリーターミナルに発着する各種交通を整理し、西側(街側)含める歩行専用エリアを整備することにしました。フェリーターミナルには大きなコンコースを設け、スムーズに動線を街側に導くとともに、迎える姿勢を示すことで玄関口である印象を演出します。これを経てアクセスできる商業と住居機能が集中する『うみまち』では、街側には明快な中心軸(うみまちストリート)と緑豊かな環境の中で散策が楽しめる体験をデザインし、賑わいが生まれやすい計画を目指します。『うみまち』には、地域住民がまちづくりの実践と挑戦ができるシェアキッチンを整備し、これと緑の管理を地域住民の手で行うことで、地域住民だけでなく島外から訪れる人々を含めたまちづくりが常にアップデートされていく環境を意図しています。



将来的には、シェアキッチンを台地の麓に移転し、オープンスペースと共に計画することで、台地とまちの玄関口として位置付け、自転車・PMV(パーソナルモビリティ)により西郷港玄関口地域を”手軽に”体験してもらえるよう整備していくことで、隠岐の島全体の玄関口として地域の魅力を向上させ、賑わいを広げていく構想です。





Loop! Loop! Chair

第10回 家具デザインコンテスト

キーワード:リビングチェア / 大分県の地場産業 / 竹材 / しなやか


大分県の真竹の特徴であるしなやかな弾力性を座り心地に反映したリビングチェアです。真竹のフレームを一筆描きに回転させながらフォームを組み、竹編座面を張ったシンプルな構成としています。有機的な形状がフレーム同士や床と接点を取り、椅子周りの行為に対して柔らかく変形して安定します。


 

来年は認定こども園の入札・工事監理、オフィス改修の工事監理、事業系コンペへの参加からスタートします。

そして、イジューハウスの活動も推進していかなければいけません。

設立以来続けている研究と実践を繰り返し、それぞれを横断して思考することの重要性が改めて身になってきている気がします。

来年は具体的な成果が生まれることを期待して多様な建築について考え、挑戦していくことになります。


来年もどうぞお付き合いください!

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