家づくりにまつわること(4) :建築家(=建築士)はみんな同じか?

最終更新: 6月7日

#住宅 #家づくり #デザイン

今回は、建て主が建築家を選定する際の着目ポイントについてアドバイスします。


といいますのも、誰もが住宅を建築することは一生に一度の買い物であり、いざ建築しようと思っても比較基準も相場もありません。

以前の当社の相談会で、建築家マッチングサイトより10人を超える建築家からアプローチとプラン提案を受けている方がいらっしゃいましたが、何が良くて、何が良くないか、わからなくなっていました。そういった方の判断基準になればと思います。




◉ まずは一般的な知識を押さえる


建築家と建築士は、一般的に基本的解釈に違いはありません。

しかし、個人的には違いがあると思っています。


「建築士」については、世間にはあまり馴染みのない建築士法という法律に定義されています。その中では、建築士は「一級建築士、二級建築士及び木造建築士」を言い、それぞれの建築士は「建築士の名称を用いて、建築物に関し、設計、工事監理その他の業務を行う者をいう」と定義されています。


つまり、担当できる規模は違いますが、資格を持っていれば建築士であるということです。

「士や師」がつく職業は他に・・・飛行士、弁護士、看護士、美容師、医師、教師など

一方、「家」がつく職業・・・政治家・芸術家・画家・実業家・投資家など

があります。


その違いは不明快と言われますが、個人的には「士や師」は一定の技能や資格を持つ人であることを表す語であり、「家」は古来中国から伝わった用語ではあり、「資格にしづらいコミュニケーション能力や意匠などの計画・実現能力が高い人」を示していると考えています。

しかし、一般的には、「建築家」には「建築士」の技能も習得しているものとして扱われており、一定の技能や資格を持ち、さらにコミュニケーション能力や計画実現能力が高い人を定義づけされていることになります。


ちなみに余談ですが、そもそも建築士制度が生まれた背景には、建て主である建築主は、工事を請け負わせる建築業者に間取りや意匠への期待を求めるが、企業である建築業者は建築主の期待と工事費や工期ばかりを重視する余り、安全性への配慮を怠る危険性があるため、建築主の意識が及ばない技術領域での安全性を確保し、国民の財産と生命と健康を守るための建築基準法の目的を実現する手法として当制度を整備しています。

そもそも建築士は国民の財産と生命と健康を守るための第三者として制度化されているということです。




◉ 建築家の共通なこと


我々、建築家(=建築士)は皆、建築文化と安全性を尊重し、設計施工一括発注方式では実現できない質の高い建物を実現するよう努めるベクトルは持っていると言えます。

(そうでなければ、こんな大変な仕事する必要ないからです。笑)


しかし、実際は多くの人がどこかで実務経験を積み、満を持して自分の事務所を開設しています。

その経験や環境の中で、問題提起能力、デザイン能力、優先選択能力などを培い、自分の考えとなって、結果的にできあがる建築物は違って現れています。




◉ 建築家によって違うこと

問題提起能力は「住まい」という個人が日々使い人生観を育む場所という観点からは重要度は低く、ここで着目すべきはデザイン能力と優先選択能力です。


デザイン能力とは、どこまでをデザイン対象としているか(範囲)、そして、それらをどこまで考えられているか(深度)ということです。


建築とは複雑で、意匠、構造、設備、機能、施工の合理性、コスト、スケジュール、、、などいろいろな評価軸で評価して初めて、それの良し悪しが判断できるものと思っています。つまり、それぞれの評価項目はただのフラットな条件であり、その中で何を重要視して、建物を構成・計画していくかが優先選択能力になります。


このデザイン対象が狭く、優先選択能力を間違うと一方向にだけ良い建物が出来上がります。例えば、外観はカッコいいけど、無理な構造によるコストUP、運用すると空調負荷が悪そうだなどという印象を受けることも良くあります。

(厳密には、これが建て主と共有されていれば問題ないと思います。)




◉ 建築家選定時の着目ポイント


上記の能力を見極めるには、5人の建築家を訪ねて会話し、できればそれぞれの実績3案件の説明を受けることをオススメします。


そこでの着目ポイントは、

① 各建築家は何を考えて過去案件ができあがっているか

(その説明に上記の評価項目がいくつでてくるかでデザイン範囲と深度を理解、把握する)

② 過去案件3件の説明を聞いて何を優先する傾向があるかを探る

(優先選択能力を把握する)

③ 事務所の雰囲気を見る(あなたの住まいづくりもその事務所内で行われます)

④ 誰が自分の住まいづくりを担当するのか担当者を確認する

⑤ その他一般的な比較をする(設計費用、事務所の立地など)


①〜③は以上のことから大体ご理解頂けるかと思いますので、最後に④について書いておきます。


建築の計画から完成・引渡しまでは、住宅であっても1〜1.5年必要とします。

そのため、多くの設計事務所では、基本的に各案件には担当者が付き、その担当者が引渡しまでプロジェクトに関連するあらゆる計画や検討を行い、管理者は各案件の進捗やデザインを確認する体制が一般的です。


そのため、事務所の社風や社長とは相性が良くても担当者と相性が悪いと、その1〜1.5年は納得のし辛いものになってしまいますね。

これまでの経験上、同じ条件・同じ管理者でも各担当者によって進め方も違えば、出来上がるものは確実に違っています。




以上が建築家選定時のポイントになりますが、いかがでしょうか。

比較方法の一つにしていただけたらと思います。不明点がありましたら、直接ご連絡頂いても構いません。

何より、建築家に一任するのではなく、建て主が住まいづくりを理解しながら行うことが重要であることは言うまでもありません。



次回は、ここで書けなかった「建築におけるデザイン」について書いてみたいと思います!